the DESIGN MUSEUM
ロンドン・デザインミュージアム
design : humanity’s best friend
ミュージアム入り口
テレスン・コンランによって設立されたデザインミュージアム
ロンドン・デザインミュージアムのロビーは、開放感あって明るく落ち着いた雰囲気です。
2016年11月に新たにケンジントンに場所を移し誕生したデザイン・ミュージアム。
元々は旧コモンウェルス・インスティチュート(英連邦協会)の建物だったらしいです。
その建物を約5年かけて改装したものです。
入ると大きく広がるロビーは、洗練された落ち着いた過ごしやすい空間でした。
Sir Terence Orby Conran
イギリスの家具デザイナー・インテリアデザイナー・ライフスタイルショップ経営者など手掛けたイギリスを代表する有名デザイナーの一人。
レストラン経営など多岐にわたる活動で知られています。著述家である騎士 (Knight) に叙勲された「サー:Sir」です。
世界的建築家デヴィッド・アジャイDAVID ADJAYE (MAKING MEMORY)
DAVID ADJAYE
【MAKING MEMORY展】
CORETTA SCOTT KING
AND MARTIN LUTHER
KING JR. MEMORIAL
KING JR. MEMORIAL
The Mass Extinction Memorial Observatory (MEMO)
Portland, UK
The Mass Extinction Memorial Observatory (MEMO)
Portland, UK
SCLERA PAVILION
SCLERA PAVILION
NATIONAL CATHEDRAL OF GHANA
NATIONAL CATHEDRAL OF GHANA
NATIONAL CATHEDRAL OF GHANA
ロンドンのDesign Museumでは、イギリスを代表する今世界でもっとも注目を集める
若手建築家 デヴィッド・アジャイの個展「David Adjaye: Making Memory」が開催されていました。
David Adjaye はタンザニア出身、英国を主に拠点にしている建築家。
両親はガーナ人だそうです。
建築材の独特な使用や高度な彫刻能力を活かし、芸術家としての感性とビジョンに富んだ建築家として高く評価されている若手建築家。
桂離宮や修学院離宮に魅せられ、日本に留学していた時期もあるそうです。
同展は7つのプロジェクトを通じて21世紀における記念碑や記念館の役割を探るもので、記念碑に関する着想を検証して、物語を伝える装置としての建築や形の使われ方についての彼の考えが示されるもの。
「記念碑を作ることは、人類の存在の記録であり、成功や失敗を記念するものとして私たちの心に深く根づいている。ただ、その形や経験される仕方はたえず変化している。」という。
代表作の中に、「国立アフリカ系米国人歴史文化博物館」がある。
その極めて冒険的な設計で世界から絶賛されたという。
ニューヨークのハーレム地区で手がけた「シュガー・ヒル」という複合施設は、「建造物は単なる建物以上のものであるべきだ」という思想をより強く感じさせるものになった。
どの建築も素材が大胆に使われていることがわかる。
今までにないような造形的なデザインで、「アッ」と驚くようなインパクトがあった。
自然の材料や同じ材料の組み合わせによって表現を変えている物が多く、シンプルで大胆なスタイルになっている。
なんと言っても、このような表現を思いつくのがスゴい!
この展示を見るまであまり知らない建築家だったけれど、魅力たっぷりな内容で長い時間ゆっくりと見学できました。
もうすでに世界で注目されてる人ですが、私からも「注目の若手建築家」と言いたいです!
DESIGN MUSEUM~デザインミュージアムでの学び
代表的なプロダクト・デザイン
デザインミュージアム内装
DESIGNER~デザイナーとは?
DESIGNER~デザイナー
The work designers do shapes our lives at every scale, from the architecture of our cities to the objects and systems we use each day. Some designers aim to create commercially successful products while others hope that their work will benefit society. Some manage to do both. Whatever their motivations, designers focus on meeting the expectations of clients and addressing the imaged needs of users. These expectations may be expressed in a formal brief or the designer may need to uncover such factors themselves.
The design process involves research as well as intuition and progresses through trial and error. It may include sketching an idea, making a 3D model, or creating a prototype to ensure the idea works in practice. Designers increase their understanding of situations, and spark their own ideas, by posing questions and observing how users behave. They rarely do this on their own – designing involves collaborating with manufacturers, engineers and other experts.
DESIGN AND BUSINESS~デザインとビジネス
Some of the world’s most successful companies use design as the foundation of their business. They carefully control the look, feel and identity of their products. They employ design across every aspect of their activities, from branding to shop interiors and staff uniforms.
In companies such as these, design will often drive technological development and innovation. By placing design at the heart of product development – rather than just responding to market forces – such companies are able to forge a unique identity. The value of these brands does not accumulate overnight, but is carefully nurtured and defended.
WHAT IS GOOD DESIGN?~良いデザインとは?
In the 20th century the Modernists believed that good design was about usefulness – how well an object performed its function. For others, good design is less tangible. It might be something that is capable of provoking an emotional response – perhaps through beauty or wonder. What is good design is open to interpretation.
Many people share the belief that there is a moral or ethical component to design, and that design can be responsible for enriching our lives or “doing good” in the world. However, if good design can improve our world then presumably bad design can harm it. This highlights the moral responsibilities of designers, and of the people who use their work.
*DESIGNER~デザイナー*
デザイナーは、都市の建築から毎日使用するオブジェクトやシステムまで、あらゆる規模で私たちの生活を形作っています。一部のデザイナーは商業的に成功する製品を作成することを目指していますが、他のデザイナーは彼らの仕事が社会に役立つことを望んでいます。両方を行うこともできます。デザイナーは、動機が何であれクライアントの期待に応え、ユーザーのイメージ化されたニーズに対応することに焦点を合わせます。これらの期待は、正式な概要で表現されるか、デザイナーがそのような要因を明らかにする必要がある場合があります。
設計プロセスには、研究だけでなく直観も含まれ、試行錯誤によって進歩します。これには、アイデアのスケッチ、3Dモデルの作成、またはアイデアを実際に機能させるためのプロトタイプの作成が含まれます。デザイナーは、質問を投げかけ、ユーザーの行動を観察することで、状況に対する理解を深め、独自のアイデアを生み出します。独力でこれを行うことはめったにありません。設計には、メーカー、エンジニア、およびその他の専門家とのコラボレーションが含まれます。
*DESIGN AND BUSINESS~デザインとビジネス*
世界で最も成功している企業の一部は、ビジネスの基盤としてデザインを使用しています。製品の外観、感触、およびアイデンティティを慎重に制御します。ブランディングからショップのインテリア、スタッフのユニフォームまで、活動のあらゆる面でデザインを採用しています。
これらのような企業では、設計がしばしば技術開発と革新を推進します。デザインを製品開発の中心に置くことにより、市場の力に単に対応するのではなく、そのような企業は独自のアイデンティティを築くことができます。これらのブランドの価値は一晩では蓄積されませんが、慎重に育てられ、守られています。
*WHAT IS GOOD DESIGN?~良いデザインとは?*
20世紀のモダニストは、優れたデザインとは有用性、つまりオブジェクトがその機能をどれだけ上手く発揮するのかを考えていました。他の人にとって、優れたデザインは具体的ではありません。それは感情的な反応を引き起こすことができる何かかもしれません-おそらく美や不思議を通して。良いデザインとは、解釈に開かれたものです。
多くの人々は、デザインには道徳的または倫理的な要素があり、デザインは私たちの生活を豊かにし、世界で「善を行う」責任があると信じています。しかし、良いデザインが私たちの世界を改善できるなら、おそらく悪いデザインがそれを害する可能性があります。これは、デザイナーとその作品を使用する人々の道徳的責任を強調しています。
なんとも深みのある内容です!
確かにデザインをする上では、メイカーやエンジニアなどその他の専門家とのコラボレーションなしに良い設計・デザインは成り立ちません。
企業においても、デザインとブランディングの活動の一つひとつに、ブランド価値を高めるようなアイデンティティーをデザインしなければなりません。
そういった意味では、「企業のビジネス活動は、デザイン」と言えます。
そしてデザインは、「私たちの生活が豊かになって、世界が幸せにより良くする」ことができる影響力のある力だと思います。
USER~ユーザーとは?
USER~ユーザー
USER~ユーザー
We are all users of products and services, and all of these things have been designed. We choose products that help us carry out specific tasks and express our identities. Design gives us the freedom to live in the way we choose, and to express ourselves in whichever way we want. At the same time, design changes the world around us, and our place within it, in ways that we may not expect.
As users we have the power to influence design Our choices will make some designs succeed and others fail. However, the reasons we choose one product rather than another are complex Some of our decisions are clear and deliberate, based on cost, efficiency, comfort or need. Other choices are less conscious, prompted by an emotional response, a perception of value or, in some cases, the manipulation of manufactures and advertisers. Understanding the things that we live with helps us make informed choices about them.
WORK IN PROGRESS~進行中の作業
How has design shaped your life today?
Design is everywhere and continues to transform the lives of everyone around the world through the partnership between the designer, the maker and the user. Now it’s over to you.
Work in Progress is an invitation to step into the shoes of a designer and do some creative problem-solving. Fire up your imagination, roll up your sleeves and take your place at the table.
-Use the books, objects and materials for inspiration
-Choose one of the design briefs displayed above the table
-Share your design with #WiPDMU
BRAUN LOGO:ロゴ
SONY / PS / WALKMAN / VAIO LOGO:ロゴ
APPLE LOGO:ロゴ
*USER〜ユーザー*
私たちはすべて製品とサービスのユーザーであり、これらすべてが設計されています。特定のタスクを実行し、アイデンティティを表現するのに役立つ製品を選択します。デザインは、私たちが選択した方法で生き、自由に自分を表現する自由を与えてくれます。同時に、デザインは私たちの周りの世界とその中の私たちの場所を私たちが予期しない方法で変えます。
ユーザーとして、私たちはデザインに影響を与える力を持っています。私たちの選択は、いくつかのデザインを成功させ、他のデザインを失敗させます。ただし、別の製品ではなく1つの製品を選択する理由は複雑です私たちの決定のいくつかは、コスト、効率、快適さ、または必要性に基づいて明確で慎重です。他の選択肢は、感情的な反応、価値観、または場合によっては製造業者と広告主の操作によって促され、あまり意識的ではありません。私たちが住んでいるものを理解することは、それらについて情報に基づいた選択をするのに役立ちます。
*WORK IN PROGRESS〜進行中の作業*
今日のデザインはあなたの人生をどのように形作っていますか?
デザインはどこにでもあり、デザイナー、メーカー、ユーザーのパートナーシップによって世界中の人々の生活を変え続けています。これで終わりです。
Work in Progressは、デザイナーの靴に足を踏み入れ、創造的な問題解決を行うための招待状です。想像力をかき立て、袖をまくり、テーブルに座りましょう。
-本、オブジェクト、素材を使ってインスピレーションを得る。
-表の上に表示されるデザインブリーフのいずれかを選択します。
-#WiPDMUでデザインを共有。
ユーザーは、デザイナーにとって重要な存在です。
デザイン設計しても、ユーザーである消費者が買って使ってくれなければ意味がありません。
それだけユーザーである私たちが、モノを生み出すデザイナーに与える影響は大きいということ。
ただデザイナーがいなくては、新しい物は生まれません。
ユーザーは、ただただデザイナーが欲しいモノを企画して生み出してくれることを待つしかありません。
スティーブ・ジョブスのように、私たちの生活を大変革させるほどのイノベーティブを生み出せるデザイナーを私たちは、いつも待ち望んでいます!
それにはユーザーとして、デザイナーが生み出す商品やサービスに適切な評価とサポートをしていく必要があると思っています。
「良い物は、良い」と「悪い物は、悪い」と消費者の判断・評価をしっかりと表現できるようになればと思います。
その結果として、デザイナーが繰り返し改善していくことで、いつしか私たちの生活がより良く豊になるモノを生み出してくれると信じています。
MAKER~メーカーとは?
MAKER~メーカー
MAKER~メーカー
The manufacturer – or “maker” – is the third partner in the design process. The maker will draw up the brief for the designer. This may include the materials and manufacturing processes to be used, the needs and aspirations that they think the product will satisfy, as well as a price. The brief may also consider ecological questions, such as how the materials are sourced and what happens to the product at the end of its life.
Makers work at many different scales. Someone creating a product in their bedroom or garage is as much a maker as an industrialist running a large factory. Makers do not necessarily need to have their own production facilities, but can rely on a network of distributed manufacturers who each specialize in a different process. They may also share designs through the social web, which creates new opportunities for users to become makers.
Ethical manufacturing~倫理的な製造
In recent decades an increasing number of companies have found ways to achieve commercial success while avoiding harm to society or the environment. These ethical manufacturing approaches can take many forms. Some companies subscribe to fair trade initiatives designed to provide decent prices and working conditions for farmers and workers. Others develop products that are sustainable, or that use recycled or non-toxic raw materials. Some companies seek to make products that in some way benefit society, while other reinvest portions of their profit into charitable and social causes.
YANCEY STRICKLER (KICKSTARTER)
more and more voices are rejecting business as usual, and the pursuit of profit above all. We measure our success as a company by how well we achieve our mission, not by the size of our profits.
*MAKER〜メーカー*
メーカー(または「製造業者」)は、設計プロセスの3番目のパートナーです。メーカーはデザイナーのためにブリーフ(要約)を作成します。これには、使用する材料と製造プロセス、製品が満たすと考えるニーズと願望、および価格が含まれます。ブリーフでは、材料の調達方法や製品の寿命の終了時に製品に何が起こるかなど、生態学的な問題も考慮する場合があります。
メーカーはさまざまな規模で働いています。寝室やガレージで製品を作成する人は、大きな工場を経営する産業家と同じくらいのメーカーです。メーカーは、必ずしも独自の生産施設を持つ必要はありませんが、それぞれが異なるプロセスを専門とする分散メーカーのネットワークに依存することができます。また、ソーシャル・ウェブ(インターネット)を通じてデザインを共有することもできます。これにより、ユーザーがメーカーになる新しい機会が生まれます。
*Ethical manufacturing〜倫理的な製造*
近年、社会や環境への害を回避しながら商業的成功を達成する方法を見つける企業が増えています。これらの倫理的な製造アプローチは多くの形をとることができます。一部の企業は、農家や労働者に適正な価格と労働条件を提供するように設計されたフェアトレードの取り組みに加入しています。その他の企業は、持続可能な製品、またはリサイクルまたは非毒性の原材料を使用する製品を開発しています。一部の企業は何らかの形で社会に利益をもたらす製品を製造しようとしていますが、他の企業は利益の一部を慈善的および社会的原因に再投資しています。
YANCEY STRICKLER:ヤンシー ストリックラー(キックスターター)
なにか新しいことを始める上で名前が出ないことはないクラウドファンディングサービス「Kickstarter」の共同創業者であり現CEO。
ますます多くの声がいつものようにビジネスを拒否し、何よりも利益を追求しています。会社としての成功は利益の大きさではなく、ミッションをどれだけ達成できるかで判断します。
今時代の流れが、大きく変わる時期
今時代の流れが、大きく変わる時期だと感じています。
私たち日本人にとっては、「平成から令和」の年号が変わりました。
日本だけではなくて、世界的に、地球的にと言っていいくらいの変化の時期だと感じています。
なぜなら、様々な場所・地域で「倫理的な製造」というテーマが多く発信されているからです。
特に欧米などからの発信が多く、日本はまだまだ少なく遅れをとっている状況にあります。
国連(UNDP)が、2015年国連サミットで採決された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている、「よりよい世界を目指す国際目標」を今世界が目指しています!
ご存知でしたか?
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
発音は、SDGs(エス・ディー・ジーズ)。
多くの企業は、今までの生産方法から新たな方法への転換を迫られています。
メーカーとして、企業として、今後は「持続可能な開発目標」をミッションとした「ものづくり」の重要性がよく分かった展示でした。
デザイナー・ユーザー・メーカーの3者の関係性が、私たちのより良い生活を作り上げるということです。
ロンドン・デザインミュージアムは、デザイナーとは?ユーザーとは?メーカーとは?の3部門の構成で3者それぞれのデザインについての考えや見方などを見学できる内容です。
デザイナーであり、ユーザーであり、そしてメーカーである私には、とっても興味深い内容でした。
テレンス・コンラン卿の残したこのミュージアムは、新しくなってさらにグレードアップしています。
私がロンドンに住んでいた時の1998年頃に、旧デザインミュージアムに一度行ったことがありました。その時からすると私自身もデザインに対する見方や考えが変わったことで、考えさせられる内容がいっぱい詰まっていました。
帰りには、本を何冊か買ってしまい。
どっしりとした「デザインの重み」を持ち帰ってきました。
非常に勉強になりました!
ロンドンって、やっぱり良いですね。
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