開校100年 きたれ、バウハウス
―造形教育の基礎―
会期:2020年7月17日~9月6日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485
開館時間:10:00~18:00(金~20:00)※入館は閉館30分前まで
休館日:月(8月10日、8月31日は開館)
料金:一般 1200円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料
東京ステーションギャラリーで開催されている「バウハウス展」に行ってきました。
BAUHAUS:バウハウスについては、デンマークのデザインミュージアムに訪れたときにちょうどBAUHAUSについて学ぶ機会がありました。
今回は、日本での展覧会なので日本語でじっくりと勉強できました。
残念ながら写真を撮れる場所が限られていたため、かなり少ないですがご了承ください。
bauhaus 誕生から100年目
1919年、ドイツの古都ヴァイマールに、建築家ヴァルター・グロピウスにより開校した造形学校「BAUHAUS:バウハウス」が、昨年その誕生から100年目を迎えました。
ナチスの弾圧を受け1933年に閉鎖されるまで、わずか14年という短い活動期間。
実験精神に満ち溢れたこの学校は、造形教育に革新をもたらしました。
今日にいたるまでアートとデザインに大きな影響を及ぼしています。
バウハウスの教育を見て感じる
バウハウスとは何だったのでしょうか?
バウハウスは、「学校」です!
ワシリー・カンディンスキーやパウル・クレーなど
時代を代表する優れた芸術家が先生としてバウハウスの教育にあたりました。
とりわけ、入学した学生が最初に受ける基礎教育で教師たちが試みた授業はユニークで、現代の造形教育の土台となりました。その教育を礎にして、バウハウスから優れたデザイナーや建築家が育ち、また時代を切り開くデザインのプロダクトやグラフィックが生まれてきました。
バウハウスの設立宣言:
「全ての造形活動の最終目標は、建築である。」という言葉で始まります!
BAUHAUS:バウハウスの「BAU:バウ」は、ドイツ語で「建築」を意味します。
「HAUS:ハウス」は、「家や館」を意味する。
直訳すると、「建築の館」という意味になる。
当時の芸術界の先端で活躍し国際的にも注目されていた意欲に満ちた芸術家たちを教師として招き、創造力溢れる教育体制を構築しました。
優れた教師たちのユニークな基礎教育が、とても魅力的です!
もしその時に生きていれば、是非バウハウスで勉強してみたかったです。
豪華教師陣のユニークな授業
バウハウスでは、ヴァシリー・カンディンスキー、パウル・クレーなど時代を代表する芸術家たちが教師として指導にあたって、優れたデザイナーや建築家が育ち、画期的なデザインが生まれました。
とりわけ、入学した学生が最初に受ける基礎教育で教師たちが試みた授業はユニークなものでした。
「バウハウスの教育カリキュラム」
VERLEHRE:予備課程(共通の造形基礎教育)
ヨハネス・イッテンの予備課程の目的
2:様々な材料を扱い、次の工房教育における専攻の選択を容易にすること。
3:形態や色彩に関する基礎的な知識を身につけること。
これまで受けてきた教育や知識から学生を解放し、一人ひとりの芸術的才能を開花させること。
手仕事を通じて、全感覚を研ぎ澄ますことを目指した。
手工作 (Handwerk) の意味
「建築家、彫刻家、画家たちよ、我々はみな手工作に戻らなければならない!」
(ヴォルター・グロピウス「バウハウス宣言」1919年)
グロピウスは、手工作に大きな役割を与えていた。
芸術は教えられるものではないが、手工作は教えられるものだ!
この能力は、すべての芸術家にとって欠かすことのできない基礎 (Gurundlehre)である。
「ヴァシリー・カンディンスキーの色彩論」
青は、円○
黄は、三角形△
に対応するという見解を示した。
形態では、『点ー線ー面』の分析。
色彩では、基本要素である『寒ー暖(青ー黄)』『明ー暗(白ー黒)』の対比。
「分析的デッサン」
いつくかの単純な基本的形態と造形関係を見出した『緊張:シュパヌング Spannung』を使い全体の構造を理解し表現する!
デッサンするときに、線をこのシュパヌングとして捉えて描くのでしょうか!?
強調する線のことを緊張と言っているのかもしれません・・・。
デッサンの仕方をカンディンスキー先生に教えてもられるとは、なんとも贅沢ですね!
ヨゼフ・アルバースの「紙による素材演習」
私が一番面白いと思った授業の課題にヨゼフ・アルバースの「紙の素材演習」の展示でした。
この紙を扱う演習では、加工法を「切る・折る・曲げる」に限定しており、素材を残したり、後から付け加えることは禁じられた。
こうして紙という材料の新たな可能性を試行錯誤させるものだった。
既成概念からいかに抜け出すかを考えながら形を作る授業。
学生たちが生涯にわたって影響を及ぼすような創造力を引き出したアルバースの授業。
アルバースは述べています。
「究極的な成果は、学生が自ら獲得し、それゆえに彼のものになった経験自体なのだから。そして、その経験を自分のものにしたというのも、彼は自分で学び取ったものであり、ただ単に教えられたものではないのだから。」
本当に素晴らしい教育だと思います。
体験こそが、一番感じ取れる最高の教育だと信じています。
一夜漬けで押し込んだ学習ではすぐに忘れてしまいますが、強烈な経験は生涯忘れることのない大切なものになると思います。
専門課程としての「工房教育」
バウハウスの工房では、ドイツの伝統的マイスター制度に倣って、教師は「マイスター(親方)」、学生は、「レーリング(徒弟)」、そして職人試験に合格すると「ゲゼレ(職人)」と呼ばれた。
「芸術と技術ー新たな統一」という学校が進むべき新たな方向性を示し、工房が最先端の機械技術や工業とより強く結びついていく可能性を示した。
バウハウスを象徴する画期的なプロダクトとして、マイセル・ブロイヤーの銅管椅子が生まれた。
モダニズムシンボル・チェア
マイセル・ブロイヤー (Marcel Breuer) クラブ・アームチェアB3 (ヴァシリー)
自転車のフレームにヒントを得て、銅管を用いた画期的な肘掛け椅子。
まさしく、芸術と技術の統一のひとつの形が実現したデザインです。
座ってみると腰と背中と最適な部分に背もたれがあって、座り心地も最高でした。
パイプの曲げ方や本数など、生産工程と材料の最適化はすごく考え抜かれていると感じました。
感動です!
本当に欲しくなってしまいました・・・。
ルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエ (Ludwig Mies van der Rohe) バルセロナ・チェア
バルセロナ・チェアといえば、1929年のバルセロナ万国博覧会のドイツ館でスペイン国王のためにデザインし、世界の注目を集めた作品。
それをデザインしたのが、バウハウス校長を務めた20世紀のモダニズム建築を代表する建築家『ルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエ』
「God is in the detail(神は細部に宿る)」
などの名言を残し、それを見事に体現した様々な建築物や家具を制作した巨匠です。
憧れの「バルセロナ・チェア」は、モダニズムを象徴する椅子だったんですね。
しかも、バウハウスの校長までも務めていたとは知りませんでした。
座った瞬間にスポッと柔らかいクッションに包まれてしまったような、快適な座り心地でした。
私にとっては、革の肌触りの良さは気持ちが良いほどの上質なものでした!
オットマンと一緒に使ったら、最高のリビングになりますねぇ。
どちらのプロダクトも
100年近い前のデザインとは思えない
今でも全く古さを感じさせないデザインです。
これこそが、バウハウスの究極の教育なのでしょうか!?
「芸術と技術の統一」は、永遠のデザインを生み出せるということですね。
立派な姿に蘇えった東京駅
5年もの年月をかけて改築工事を終えた「東京駅」。
当時の貴重なレンガを残しつつ、立派な姿に蘇りました。
本当に素晴らしい建物です。
「東京ステーションギャラリー」も非常に観やすい素敵なギャラリーでした。
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