「南部鉄器(なんぶてっき)」としてひとくくりとされていますが、 その南部鉄器を大きく分けて本場岩手県の「盛岡」と「水沢」の2つの歴史があります。
「南部鉄器(なんぶてっき)」とは、岩手県盛岡市と奥州市水沢区で生産されている鋳物伝統工芸品の総称です。
鋳物職人のことを「鋳物師」と呼ぶ!
鋳物職人は 「鋳物師」と呼ばれ、地方豪族や寺院のもとで護られ鋳造を続けてきました。
ちなみにこの「鋳物師」を(いものし) と読んでしまうのが大半だとは思いますが、これを(いもじ)と読みます。
なんで(いものし)ではないのかは、よく分かりませんが訛り・方言でそのように言われたとも言われています!
南部鉄器の主な製造技法は「溶けた物質を型に流し込んで、それを固めて製造する技法」の「鋳造(ちゅうぞう)・鋳金(ちゅうきん)」です。
このようにして製造されたものは「鋳物(いもの)」と呼ばれています。
岩手県には釜石鉄山や田老鉱山などから出土する岩鉄・鉄鉱石・砂鉄など豊富な資源に恵まれていた地理的優位性が「南部鉄器(なんぶてっき)」の発展に繋がりました。
なんで「南部鉄器」って言うの?
現在の岩手県北部~青森県西部に勢力を持っていた「南部利直(なんぶとしなお)」の存在があります。
「南部利直(なんぶとしなお)」は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての大名です。(陸奥国盛岡藩初代藩主)
この南部盛岡藩主が「小泉氏・鈴木氏・有坂氏・藤田氏」4家の「鋳物師(いもじ)」を率いたことで「鋳物(いもの)」が盛岡藩で発展してきました。
結局名付けられたのは「盛岡鉄器」ではなく、「南部鉄器(なんぶてっき)」です。
盛岡藩主南部家が今でもどれだけ深く関わったのかが、分かります!
茶道と「南部鉄器」の深い関係
特に2代目藩主「南部重直(なんぶしげなお)」以降から「茶道」との関係が深まりまっていきました。
南部藩から良質の鉄などの原材料が産出するのに着目したことと、4家の「鋳物師(いもじ)」を率いていたことで茶の湯釜の制作をスタート。
京都出身の釜師(初代小泉仁左衛門)に茶の湯釜を作らせたのが、「南部釜の起源」です。
「茶の湯=茶道に欠かせない道具」が「茶釜や湯釜」
茶道と深く関わることで、発展してきた「南部鉄器(なんぶてっき)」と言えるでしょう。
おすすめ「南部鉄器」
まとめ:南部鉄器
南部鉄瓶で沸かしたお湯で楽しむ世界
「南部鉄器」で沸かしたお湯は飲んでみると、どれも口当たりが優しくホッとしたまろやかな味わいです。
茶釜や鉄瓶で沸かした「まろやかな味」が、茶道の世界で重宝させてきた理由でしょう。
まろやかな口当たりが、「南部鉄器の魅力」でしょう!
南部鉄瓶は、使用するたびに内側に「湯あか」が付着します。
これがサビを防止してくれて、味わいを一層深めてくれる重要な役割を果たしています。
吸収されやすい鉄分が溶出される
南部鉄器によって、簡単に鉄分補給が可能です。
南部鉄器を使用することで鉄分が少しずつ溶け出し、食材や水分に鉄分が移り、それを食べたり飲んだりすることによって鉄分補給ができます。
その溶出する鉄分の殆どが人間の身体に吸収されやすい「二価鉄(ヘム鉄) / Fe2+」と呼ばれるものです。
鉄分には「二価」と「三価」がありますが、人体に吸収される時には「二価」として吸収される仕組みになっています。
また「二価鉄(ヘム鉄) / Fe2+」は、三価鉄に比べて5~6倍も身体に吸収されやすい鉄です。
「南部鉄器で沸かしたお湯」は、まろやかで口当たり良く美味しいだけではなく、鉄分補給までできる万能な水分です。
この万能な飲み物として、「白湯(さゆ)」を毎朝飲んでみてはいかがでしょうか!?
冷たい飲み物よりも、温かい飲み物の方が胃腸の働きを助ける役割もあるため、おすすめしたいです。
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