静岡・熱海にあるMOA美術館で
「北斎 冨嶽三十六景」
が開催されているので、見に行ってきました。
行くたびに驚く、MOA美術館の魅力と共にご紹介したいと思います。
MOA美術館魅力とは?
杉本博司の世界
世界を舞台に活躍する現代美術作家 杉本博司氏が、建築家 榊田倫之氏と共に主宰する「新素材研究所」が改修工事を手掛けました。
古代や中世、近世に用いられた素材や技法を、現代にどう再構築して受け継いでいくかという問いに取り組み、様々な試みの中から、日本の伝統的な素材を用いた現代的な空間を生み、新しいMOA美術館を見事に体現させました!
1982年に開館。
国宝3点を含む所蔵品3500点を通して日本美術、能や茶の湯といった国特有の文化を紹介している。展示空間の刷新を図るべく、2017年2月5日にリニューアルオープン。
見どころ満載の美術館です。
MOA美術館
*所在地 静岡県熱海市桃山町26-2
*TEL. 0557-84-2511(代表)
*FAX. 0557-84-2570
(交通アクセス)
JR熱海駅よりバス:バスターミナル8番乗り場よりMOA美術館行き 約7分
終点「MOA美術館」下車すぐ
万華鏡円形ホール
日本最大のマッピングされた万華鏡直径約20m、高さ約10mの巨大なドーム型の「円形ホール」。
円形ドーム一面にマッピングされた万華鏡は、日本最大だそうです。
ゆっくりした時間を味わえます。
帰りにバスの時間待ちに、ゆったりと味わっても良いかもしれません…
熱海駅の背後に位置する海抜250mの丘陵地に建っており、初島や伊豆大島が浮かぶ相模灘など雄大な景観が見渡せる最高のロケーションです!
海が一望できます!
海を眺めるヘンリー・ムーアの「王と王妃」
Henry Moore : KING and QUEEN
そこには、ヘンリー・ムーアの「王と王妃」のブロンズ像があります。
20世紀を代表するイギリスを代表する芸術家・彫刻家。
同じブロンズ像が、ワシントンD.C.にもあるそうです。
日本の王と王妃は、相模湾を一望しながらたたずんでいます…
ヘンリー・ムーアの代表的な作品である特徴的なあなが貫通している横たわる像(横たわる人体)をデンマークのルイジアナ美術館で見たけれど、やっぱり綺麗な広場やお庭が似合いますねぇ!
アートが自然に溶け込んだ感じが、良いです。
いつも圧倒される建築は、お城・宮殿のような雰囲気です。
能楽堂
優れた伝統芸能を紹介する目的で設置した「能楽堂」。
一度学生の時に見に行ったら、ぐっすりと寝てしまいました。
あれから一度も真剣に見ていないので、伝統芸能としての「能」をしっかりと見てみたいと思いました。綺麗な能楽堂で、すごく緊張感があります!!
黄金の茶室
豊臣秀吉が時の正親町天皇に茶を献じるために、京都御所内の小御所に組立式の黄金の茶室を運びこみ黄金の道具を用いて行った茶会。(天正14年:1586正月)
数奇屋建築の泰斗堀口捨己博士の監修のもと復元されましたものだそうです。
「黄金の茶室」、なんて豪華な茶室なんでしょうか!?
何から何まで、全部金箔で埋め尽くされいる!
今は照明でキラキラと輝いていますが、当時は電気はなかったので、茶室の中は薄暗く柔らかい光で黄金に輝いていたのだと思います。
組み立て式っていうのも、驚きです。
杉本博司デザイン・ソファー
杉本博司の代表的な「海景」シリーズの写真の正面に、ソファーがあります。
そのソファーベンチの脚に注目してみてください!
脚部には透明度の高い光学ガラスが使用されています。
この光学硝子も、「新素材研究所」から生まれたシグネチャーデザインだそうです!
「新素材研究所とは?」
「旧素材こそ最も新しい」という理念のもと、古代や中世、近世に用いられた素材や技法を、現代とどう再編して受け継いでいくか?という課題に取り組んでいます。杉本博司さんのアート活動の一貫の活動なのだと思います。
国宝の茶壺
国宝「色絵藤花文茶壺」 野々村仁清
部屋は、職人の技術の粋をきわめた仕上げで江戸黒ともよばれる深みのある黒漆喰の美しい壁でかこまれています。
展示室はアメリカ製の低反射高透過ガラスを使用しているらしく、ガラスがあることが分からないくらいです。反射した自分が見えないので、ガラスに近づきすぎて顔をぶつけないように!!
所々にぶつかった跡らしきものがありましたよ。
黒楽茶碗:長次郎
長次郎の楽茶碗まで見れるとは思いませんでした…
全体的に日本芸術として「茶道」の茶器などのコレクションも展示されています。
日本の伝統芸能に繋がる「能」や「茶道」、「美術品」を中心とした世界観が味われる魅力的な美術館です。
葛飾北斎の富嶽三十六景とは?
展覧会:「北斎 冨嶽三十六景」
期間:2020.10.01|木| – 2020.11.10|火|
「冨嶽三十六景」は、富士信仰の盛行を背景に、天保2年(1831)頃より西村永寿堂から刊行された浮世絵風景版画です。
様々な場所から望む富士を、人々の暮らしとともに描写している
葛飾北斎(1760 – 1849)の代表的な作品です。
当初刊行された36図。
好評につき制作された10図を追加した全46図で構成される本作。
国内外に知れ渡る「神奈川沖波裏」
グレート・ウェーブ「神奈川沖波裏」
あのゴッホが圧倒された北斎の波!
現在の横浜本牧沖から富士を眺めた図。
「浮世絵と言えば、これ!」というくらい世界的に有名な作品です。
北斎が長年に渡って描いてきた波の作品の中でも、「ダイナミックな構図」と「静と動」が交錯する圧巻の作品。
波が押し寄せてくる瞬間をとらえた、鷹の爪のような波頭の迫力がこの作品の魅力の一つです!
しかも驚きなのは、これを発表した北斎の年齢は
なんと72歳!
年齢を重ねるごとに「波」の描き方に工夫がなされていて、「神奈川沖波裏」は北斎がやっとたどり着いた波の表現だったようです。
構図がたまらなく好きで、浮世絵の渋さと細かい職人技が魅力的です!
山下に稲妻を描く「山下白雨」
黒富士「山下白雨(さんかはくう)」
『凱風快晴(がいふうかいせい)』が「赤富士」と称されたのに対し「黒富士」と呼ばれています。
漆黒に包まれた裾野から山頂へのシャープなグラデーション。
「白雨」は、「夕立」を意味するそうです。
裾野に描かれた「稲妻」、奥より迫ってくる黒く染まった雲!
シンプルな表現だからこそ、どんな富士山なのか!?
容易に想像ができますね。
浮世絵風景版画「冨嶽三十六景」
構図、色彩の妙など、多彩に繰り広げられる「冨嶽三十六景」の世界。
江戸の気持ちが分かる「歌川広重」の絵とは?
歌川広重(うたがわひろしげ)
歌川広重の「東海道五拾三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)」は、葛飾北斎の「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」と並んで有名な浮世絵です。
3年前に売り出された「富嶽三十六景」の人気もあって、版元が広重にも景色シリーズの絵を描いてにらったのが「東海道五拾三次」でした。
広重が60歳の時から売り出された「名所江戸百景(めいしょえどひゃっけい)」というシリーズがあります。
画面からはみ出るほど大きく描いた構図。
目線にも特徴があって、景色がどんなふうに見えるだろう?という想像をかき立てる描写が多いです。
また広重のもう一つの特徴として、時刻と天気の違いを表すことが上手です。
爽やかな朝と静かな夜、晴れの日と雨の日、雪の日などの様子を描き分けて表現されています。
木、鳥居、家、歩く人、江戸時代の人々の気持ちが分かる
そんな綺麗な風景が広重の浮世絵なのだと思います。
江戸時代の人気浮世絵作家「葛飾北斎と歌川広重」。
両者の代表的なシリーズを見比べられたこの企画展は良かったです。
ゴッホ、モネやドガなどの海外の画家たちも夢中になった浮世絵。
日本を代表する美術を堪能できました…
杉本博司の熱海・海景シリーズ
杉本博司を世界に知らしめた代表作
海景シリーズ。
熱海の海を撮影した
「海景 – ATAMI」
杉本さんの「海景」シリーズの作品。
過去から現在に向かって流れる時間、そして堆積する記憶という抽象的な概念を捉えた作品であることが瞬時に分かります。
この作品を見た時に、「ピントが合ってないけど、良いんだ!?」と思ってしまいました…
おそらく、これらは月明かりシリーズなのだと思う。
ぼんやりした光を見ていると、何だか色々と想像させられます!
これが抽象的な時間・記憶の概念ということなのだろうか!?
奥深いアートだと思いました。
モノクロのぼんやりした海が、何だかカッコいい空間に見えてきます。
最近の僕のお気に入りは、杉本さんのこの「海景シリーズ」です。
美術館を楽しんだ後に「抹茶&お菓子セット」をいただきました。
黒漆塗のテーブルとイスの立礼席で、季節の和菓子と抹茶、干菓子と煎茶が楽しめます!
茶室 一白庵は、当館創立者岡田茂吉の生誕100年を記念して、百の字を一と白に分けて「一白庵」と命名されたようです。
綺麗にお手入れされたお庭を眺めながら、ゆっくりした時間を過ごせます。
大変、楽しめました!
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