横浜で行われていた「2020ヨコハマトリエンナーレ」に閉幕ギリギリに行ってきましたので、ご紹介させていただきます。
現代アートって、難しい〜
アーティストの考えていることを全部理解するのは、本当に頭を使います。
なので美術館を出る頃には、頭がボーっとしてました…
近くのカフェで甘いスイーツとコーヒーで回復させましたが、色々と発見もあったので面白かったです。
また3年後に行きたいと思った『ヨコトリ』でした!
横浜トリエンナーレとは?
横浜トリエンナーレとは、横浜市が3年に一度開催する現代アートの国際展です。
「ヨコトリ」という愛称で親しまれ、2001年に始まり、今回で7回目の開催となります。
「トリエンナーレ」とは、イタリア語で「3年ごと」を意味します。
世界各地で開催され特色も様々です。
一過性でなく3年に一度周期的に開催し、世界の情勢が日々目まぐるしく変化する時代の中、世界と日本、社会と個人の関係を見つめ、アートの社会的な存在意義をより多角的な視点で問い直しています。
ヨコハマトリエンナーレ2020
「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」
新型コロナウイルス感染症の影響により世界中で多くの催しが中止となるなか
2020年7月17日(金)に開幕し78日間の会期を経て、10月11日(日)に無事閉幕いたしました。
お疲れ様でした!
光の間隔、輝く期待、ゆらめく光の流れ、
存在の茂みと生成の間を流れるあふれるエネルギー
展示会をひもとく5つのキーワード:
人に教えられるのではなく、自ら学ぶこと
『発光』
学んで光を外に放つこと
『友情』
光の中で友情を育むこと
『ケア』
互いをいつくしむこと
『毒』
世界に否応なく存在する毒と共存すること
トリエンナーレというものは、人の学びを刺激するいくつもの「環境」を作り出します。それは、休眠中のものであれ緊急のものであれ、世界のそれぞれに異なるさまざまな場所からやってきた関心事の間を泳ぎ回ることへと、みなさんを招き入れます。それらの関心事は、並べ替えられ、境界線を引き直され、解決がつかぬまま互いに共存しています。
約2年前、わたしたちは今回のヨコハマトリエンナーレに向かって、わたしたち自身の航海に乗り出しました―― ケア(いたわり)について、毒を含み持つケアについて、ケアと友情について、友情の中にある輝きについて、そし て光輝の宇宙論についての問いを胸にして。昨年11月にはパフォーマンスとレクチャーのイべント、「エピソード00 ソースの共有」を開催し、考えのもととなるこれらの「ソース(source、源泉の意味)」を参加アーティストのみならず世界と共有しました。一方、この数ヶ月の間に、生命をもたない存在である小さなウイルスが出現し、わたしたちが思い込んでいたことをひっくり返して人類全体に課題を突き付けました。
人類史上初めて、世界各地にいる数十億人が――お互いの存在を意識しながら――生き方の作り直しを余儀なくされたのです。こうして、世界を捉え直すことの必要性が誰の目にも明らかになりました。わたしたちは今、なじみのない、ウイルス性の、そして先が読めないところがある時代の残光(afterglow)の中にいます。誰もがよく知る手引書はまだありません。わたしたちはひとりで、そして仲間と一緒に、ぐらぐら揺れる目盛りを使いこなして航海を導いていかねばなりませんが、なじみのルールがどんどん変更されるので、目盛りの揺れはひどくなるばかりです。わたしたち はいま暴風雨のまっただ中にいて、みんなでその風圧にさらされているのです。
ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」はまた、一つの「場」でもあります。この展覧会でみなさんは、アーティストがじっくりと考えたことの間を歩き回りながら、わたしたちの内から宇宙にまで橋をかける虹のような光の帯を感じ取り、また自分で生み出すため、みずから学びたいという衝動を高めるのです。みずから学ぶ者=独学者たちは、あらゆることを学び、また学んだことをどんどん捨てていきます。彼らは必要なら、誰かが押し付けたもの、世の中で当然とされているものすべての中ではみだし者になることもためらいません。なぜなら、世界をうまくまわすためのマニュアルに書かれた機能や指示がまともに働かなくなったときには、機能や指示そのものを書き換えていかなければならないからです。
「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」はまた、関係を結ぶための、行動指針や強い感情のための、そしてがまん強さと驚きをもって世界を見、物語る力を支えるための、基盤のようなものでもあります。この足場は、わたしたちが、脈打ついのちの中にあるかすかな揺らぎや断層、つまずきや飛翔を感じ取ることを助けてくれます。こうしたことを理解するためには、自分の中にある
「ソース」へと近づいていかなければなりません。「ソース」はしばしば、ありふれたくらしの中に、また平穏無事な風景の中に、宝物のように隠されています。これらの「ソース」は、ゲームのルールを変えるためのきずなを、親しさを、また女性たちの連帯を育むための助けになるのです。2019年にわたしたちが発表した「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」のための『ソースブック』の中で、みなさんと共有した目くるめく驚きを、この場であらためて感じてもらいたいと願っています。
「生命、宇宙、世界、そして日々の時間は、数えきれないほどの行為を通じて、分解・再構成され、発光に守られて徐々に再建されていく。短い間の傷も、時間の有毒なかけらが放つ残光(afterglow)の中で回復していく。生命とは発光する独学者なのである」。
さあ、「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」へようこそ。
ラクス・メディア・コレクティヴ
ニューデリー、2020年7月
[須川善行 訳]
出典:ヨコハマトリエンナーレ2020ーAFTERGLOW
ニック・ケイヴ《回転する森》2016(2020年再制作)
気になった作品たち
国内外から出展した全67組のアーティストたち。
全部の写真は撮れませんでしたが、雰囲気だけでも紹介いたします。
まずはアートに飛び込んでみて、「分からない」ことを楽しむ!
ことだそうです…
Robert ANDREW: ロバート・アンドリューの世界観
『繋がりを感じるアート!?』
ロバート・アンドリュー
Robert ANDREW
19651年パース(オーストラリア)生まれ、ブリスベンを拠点に活動。
西オーストラリア州キンバリー地区ブルームの大地を水を故郷とするという先住民アボリジニのヤウル族を祖先に持つアンドリューさん。
近代社会でその存在を否定され、忘れられた個人や家族の歴史を調査しながら、現在のテクノロジーを用いて、故郷の土地や水、空、あらゆる生命との精神的、文化的、物理的、また歴史的な繋がりを伝える作品を制作している。
プログラムで動く精密な機会と土地の文化を反映する顔料や黄色土を使い、西洋文化から遠ざけられ、埋もれていた歴史、文化、個人の物語を掘り起こす。
これが、浮かび上がった文字!
『つながりの啓示ーNagula』
アボリジニの言葉だそうです…
『つながり』です!!!
アボリジニの人々と土地の精神的・文化的つながりは非常に強いといわれています。
母なる大自然との精神的な『つながり』を時間を掛けてアボリジニの言葉を使って伝えたかったのでしょうか!?
考えさせられます…
作られる過程ももっと見てみたかったです。
素敵なアートでした!
Max DE ESTEBAN: マックス・デ・エステバンの世界観
『警告アラート!?』
マックス・デ・エステバン
Max DE ESTEBAN
1959年バルセロナ(スペイン)生まれ、同地を拠点に活動。
社会制度やある政治体制下にある人間の状態を研究する写真や映像作品を発表。
人間の未来を左右する現代の社会基盤に着目し、そのシステムに隠されたイデオロギーとして性質を明らかにするプロジェクト『インフラストラクチャー』を2016年に開始。
資本の集中と独占を行ってきた支配的な金融インフラに対する分析としての《20の赤信号》より一連の写真作品を展示していました。
『20 RED LIGHTS』
金融資本主義によって生まれた経済格差など、あらゆる財務テクニックにより富が一部に集中していること。警告としての赤信号!!
モノクロ写真が綺麗で、赤い丸○がインパクト強かったです!
写真の中にキーワードが埋め込まれていました。
これは勉強しないとお金持ちに慣れないということなのかもしれません…
そちらの警告ってことも、ありえますよねぇ!?
エヴァ・ファブレガス《からみあい》2020
Renuka RAJIV: レーヌカ・ラジーヴの世界観
『頭なでなで〜』
レーヌカ・ラジーヴ
Renuka RAJIV
1985年チェンナイ(インド)生まれ。
バンガロールを拠点に活動。
他者とのコミュニケーション手段として制作されるラジーヴの作品には、セクシャリティやジェンダー、家族という概念や、他者との関係性への言及を読み取ることができます。
ドローイングや版画を主体に、近年ではアーティスト・ブック、同人雑誌、張り子やテキスタイルなど表現の手法を多様化させている。
壁一面に小さ〜い、優しい作品が貼られていました。
いろいろなコミュニケーション手段がみて取れます。
インド・チェンナイにはよく行くので、何だか親近感がありました!!
『頭なでなで〜』
特に僕が気になった作品は、みんながお互いの頭をなでなでしているところが好きでした!
何だか、すごくラジーヴさんの優しさを感じられました…
『泣く人?笑う人?』
こちらも
レーヌカ・ラジーヴ
Renuka RAJIV
『国際的最下層に属する、食糧供給者の最上から注ぐ力』
なかなか衝撃的なテーマでした!
これって、難民とかに救援物資を上空から届けている様子!?
みんながこちらを向いて待っている姿ってことでしょうか?
喜んでいるような〜
驚いているような〜
辛そうにしているような〜
様々な感情が感じとれます。
これを刺繍で表現しているところ。
インドのラリーキルト(カンタ)刺し子でアートにしているのが、驚きです!!!
『何のためのキス・コンテスト!?』
おそらくこちらも
レーヌカ・ラジーヴ
Renuka RAJIV
ユニークなものが多くて面白かったです!
目にとまった印象的な作品は、これ!
『キス・コンテスト』
Kissin’ contest to see who’s got a better cape
(誰がより良いマントを持っているか?を確認するキスコンテスト)
何だか意味がわからなコンテスト…
笑ってしまいます!!!
そんな世界観が、気に入りました。
「分からない」ことを楽しみましたが、最後にはヘトヘトでした。
やっぱり、現在アートは難しいことだらけです…
でもアーティストがそれぞれ考え抜いて生み出した作品だと思うので、そこには何か深い意味があるのだと思います。
何となく分かるもの、何だか全然意味が分からないもの、いろいろあるものがアートなんだ!と思いました。
今は分からなくても、時が過ぎると理解できる物もあるかもしれませんね。
また3年後、楽しみにしています。
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