人類とアートの起源:江之浦測候所の魅力とは?

人類とアートの起源:江之浦測候所の魅力とは?美術館

写真家の杉本博司(すぎもと・ひろし)さんが、神奈川県小田原市に面白いものを作っていることをご存知でしょうか?


小田原文化財団江之浦測候所(読み方は「えのうらそっこうじょ」)


名前を聞いただけでは、何がなんだか分かりません。
私が訪れたときは、生憎というか奇跡の大雪でした。
また珍しく風邪を引いている最悪なコンディションでしたので、全てを堪能できた訳ではありませんが、ほんの一部の江之浦測候所の魅力をお伝えしたいと思います。



小田原文化財団江之浦測候所とは?

「江之浦測候所」
測候所って何だろう、と思って英語表記を見たら Observatory(Odawara Art Foundation Enoura Observatory)と書いてあります。

ここはまさしく「測候所」
名前の通り、ギャラリーでも美術館でも公園でもないようです。

「測候所」とは、気象台と役割の一つのようで海や自然などを、また天空を展望するための特別な場所ということです。本来は定時の地上観測や地震観測、火山・潮位の観測,気象観測などを行う場所のことです。

杉本博司現代美術家人類とアートの起源江之浦測候所の魅力

現代美術家:杉本博司

現代美術家の杉本博司(すぎもと・ひろし)さんは、
「ここから見える海景は、子どもの頃に見た私の原風景」
神奈川県小田原市の相模湾をのぞむ見晴らしの良い丘に
「構想10年、工事10年」の歳月をかけて江之浦測候所
2017年10月9日オープンしました。

人類とアートの起源に立ち返り、国内外への文化芸術の発信地となる場として構想したそうです。
冬至や夏至の光など、太陽の軌道を積極的に建築に取り込んでいます。
「太陽の軌道変化に、人類は死や再生を意識しはじめたのだろう」と、季節ごとの太陽光の照射を計算し、至るところにその仕掛けを施したようです。

「世界や宇宙と自分との距離を測る場」としての意味もあり、人生の集大成と意気込んで作ったようで、かなり奥深い内容です。

勉強不足の私にはどれくらい理解できか分かりませんが、一つひとつにこだわりがあるように思えました。



鎌倉の建長寺派明月院の正門として建てられた明月門
鎌倉の建長寺派明月院の正門として建てられた「明月門」があります。
近年は根津美術館正門として使用されていたが、建て替えに伴い、寄贈され、再建された門が今は、この江之浦測候所に建てられています。


明月門(室町時代)Meigetsu Gate =Full Moon Gate (Muromachi Period 1336-1573)

明月門(室町時代)
Meigetsu Gate =Full Moon Gate (Muromachi Period 1336-1573)

建築様式としては室町期の禅宗様式の形を良く残している。明月門の塀には木賊張りが施される。木賊張りは半割りの竹を木賊のように縦に並べて壁面を構成する方法。

夏至光遥拝100メートルギャラリー Summer Solstice Light-Worship 100-Meter Gallery

夏至光遥拝100メートルギャラリー
Summer Solstice Light-Worship 100-Meter Gallery

夏至の朝、海から昇る太陽光はこの空間を数分間に渡って駆け抜ける。

冬至光遥拝隧道  Winter Solstice Light-Worship Tunnel

冬至光遥拝隧道
Winter Solstice Light-Worship Tunnel

冬至の朝、相模湾から昇る陽光は70メートルの隧道を貫き、対面して置かれた巨石を照らしだす。

光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席 Optical Glass Stage with Amphitheater Seating

光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席
Optical Glass Stage with Amphitheater Seating

檜の懸作りは京都清水寺の舞台、鳥取の三徳山文殊堂などがしられる。

光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席

光学硝子舞台:隧道と並行して、冬至の軸線に沿って檜の懸造り上に光学硝子が敷き詰められた舞台が設置されている。 冬至の朝、硝子の小口には陽光が差し込み輝くのが見える。

初めて訪れた江之浦測候所
大雪であったため、ゆっくりとじっくり見ることはできませんでした。

それでも、広大な敷地に一つひとつに意味のある歴史的建造物など日本文化とアートを融合させた杉本博司さんの世界観を感じることができました。

雪景色もあまり見られるものではないと思うので、それもまた風情がある趣でした。

「アートと人類の起源」というテーマは、私たちが忙しく駆け巡る現代社会で忘れてしまいがちな「冬至・夏至」の重要な時間の流れを意識させてくれるものだった。

新たなる命が再生される冬至、重要な折り返し点の夏至。
通過点である春分と秋分。

杉本さんがこの測候所に求める気づきは、「天空を測候する事にもう一度立ち戻ってみる、そこにこそかすかな未来へと通ずる糸口が開いているように思う。」という自然との調和みたいなことだと思う。

古代文明には多く天文学を用い、生活していた様子が記録として多く残っている。
今の現代社会には、どれだけそのような天文学的な意識を取り入れているのだろうか?
私自身は、ほとんど季節的なイベントからも遠ざかってしまっている。

日本文化には多くの季節の行事が残っているが、昭和から平成に代わり、そして今の令和の時代で文化的な行事の意味が薄れてしまったいるようにも思える。

私自身ももう一度これを機会に、残っている日本文化を学び・体験してみるようにしたい。


次回は、ゆっくりと江之浦測候所に滞在したい。見れなかった場所も、行く前にもう一度施設の建造物について勉強する方が良いかもしれない。

結構内容が難しいので、知識がないと何だか良くわからないハイレベルな場所です。

 

 

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