久しぶりの六本木の「森美術館」へ…
ワクワクした気分で、日本のスターたちを拝見しに!
今開催されている話題の『STARS展』で「世界レベルの現代アートとは?」どんなものなのか?
自分の目で確かめに行ってきました。
僕にとっては、好き嫌い分かれていたこちらの6名のアーティストさんでしたが…
美術館から出た時には、「やっぱり、スゲェ!」と率直に思った。
圧倒された感じです。
世界で認められるほどのオーラとインパクトが、どこか他と違います!
恐れ入りました…
是非、ショックを受けてみてはいかがですか!?
オススメの企画展です。
「日本の現代美術」
STARS展:現代美術のスターたち
―日本から世界へ
世界が認める現代アートのトップランナー6名
その初期作品と最新作をつないで見せる
待望の展覧会!
会期:2020.7.31(金)~ 2021.1.3(日)
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
戦後の高度成長期、日本ではオリンピック、万国博覧会といった国家規模のイベントが続き、国際化が推進されました。その間、現代美術の世界でも、脱植民地主義、多文化主義などさまざまな議論が重ねられ、ビエンナーレやアートフェアなど新たな場が拡がりました。
本展では、この間に日本という枠を越えて広く国際的に活躍し、今日、多様な地域や世代から高い評価を得るアーティスト6名を選び、その活動の軌跡を初期作品と最新作をつなぐかたちで紹介します。彼らの実践は世界からいかに評価されてきたのか。国境や文化を越えた普遍的な課題の追求、伝統や美学、テクノロジーやサブカルチャーなど、日本固有の社会的、文化的、経済的背景をふまえて探ります。また、1950年代から今日まで、海外で開催された主要な日本現代美術展に関する資料も展示し、それぞれの時代の評価軸や系譜を検証します。
2020年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより世界は一変し、経済的、社会的構造の脆弱性が浮き彫りになっています。そのような状況下、この6人のトップランナーたちの実践は、美術の本質的な役割とは何か、アーティストの成功とは何か、目指す「世界」とはどこなのか、といった根源的な問いを喚起するとともに、コロナ後の世界への示唆に富んだ力強いメッセージとなることでしょう。
出典:森美術館(STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ)
<出展アーティスト >
・草間彌生
・李禹煥(リ・ウファン)
・宮島達男
・村上 隆
・奈良美智
・杉本博司
村上 隆
「スーパーフラット論」を提唱し、グローバル化が進むアート・シーンに日本固有の言説を確立した村上隆さん。
僕にとっては、正直あまり好きなタイプのアーティストではありませんでした…
でも、いきなり『原発』についてのムービーに引きつけられた!!
『原発を見にいくよ』
<Let’s Go See the Nuclear Reactor>
何も知らずに原発反対のデモに参加した若いカップルが、実際に原発を見に行くというもの。
ここに込められているメッセージは、おそらく、あれだけの深刻な事故だったのに、その後の後遺症に目をつむり、のほほ〜んと生きている日本人に対する警鐘でしょう。
親しみやすい猫の格好したキャラクターを使い、楽しそうな歌で「原発」事故で廃墟になった街の映像を流す…
胸にグサっとくる瞬間だった!
アートで訴える村上さんの作品は、アニメやサブカルチャーを使って社会的なタブーについて訴えかけるアート。
ショッキングなテーマにも、覚悟して向き合ってください。
このSTARS展で、いきなり村上隆ファンになってしまいました〜
李禹煥(リ・ウファン)
「近代的なオールマイティを批判しつつ、作らないこと、描かないこと、あるいは他者や外部を表現に導入することに力を注いてきた」という李の主張や問題提起。
なかなか、難しい内容です!
彫刻家絵画化に関わらず、対象となるものの同士やその周囲にある空間や余白の出会い、相互依存関係によって作品が成立するという考え方。
う〜ん、と首を捻ってしまいそうになる奥深いアートです。
李禹煥(リ・ウファン)さんのこと、全く知らないアーティストさんでした。
ごめんなさい!
展示会場に「あれっ?これだけ!?」と言ってしまいそうな、作品でした。
僕は、全く意味が分かっていなかったようです…
『空間』と『余白』
このバランス感覚なんですねぇ。
『緊迫』と『均衡』
出作品の《関係項ー不協和音》
そういうことでしたかぁ〜!?
この人のアートは、なるべく誰もいないところで、静寂でしーんとした環境で見る方がいいかもしれません。(ちょっと人が多くいて、アートを感じられませんでした)
ベネッセアートサイト直島に、建築家・安藤忠雄のコラボレーションによる「李禹煥美術館」があるらしいので、いつか是非自然と調和したダイナニズムな作品を見たいと思います。
《関係項ー不協和音》
草間彌生
「常同反復」や「増殖」「集積」と呼ばれる水玉や網目模様、突起などの造形が繰り返される表現を特徴としており、これらは幼少期から度々経験する幻覚や幻聴の影響だといいます。
水玉模様は有名だけれど、繰り返し同じ表現で描けること。
精神的なスゴさは、とてもマネできません…
《ピンクボート》
『無限の網』
《Infinite Net》
じーっと吸い込まれるように見続けてしまった作品が、これ!
網目模様が画面を覆う「無限の網」。
網目の下に、ぼんやりと白い丸○が…
見ていると、この白い丸○が網目を押し上げているように見えてきます!
「なんだ、これは!?」
やっぱり、この人「スゲェ〜!」
何か見えているよ、絶対!と思えるような幻想的な作品。
もしこれを草間さんが幻覚として見ていたとしても、これを描けることに驚かされます!
幻覚に対する恐怖を乗り越えるために、水玉などの反復模様をとにかく沢山描いてきたそうです。
世界でも、このアートは草間さんしか表現できませんね。
とにかく、すごく圧倒されてしまいました!
宮島達男
「それは変化し続ける」
「それはあらゆるものと関係を結ぶ」
「それは永遠に続く」
という3つのコンセプト。
LEDを用いて1か9までの数字が変化するデジタルカウンターを使ったインスタレーションや立体作品を中心に制作。
0(ゼロ)は表示されずLEDは暗転しますが、これは死を意味します。
生と死が繰り返されることが表現されています。
僕が、今回一番見たかったアーティスト宮島さん。
「時の海―東北」
《Sea of Time – Tohoku》
特に2011年に東日本大震災で起きた津波は、忘れられない出来事です。
その「亡くなられた人々への鎮魂」と、あの「未曾有の大災害の記憶」を後世に伝え残すため、「時の海―東北」のプロジェクトを立ち上げたそうです。
未来への希望に繋げていくために実現したいと願っている作品。
感銘を受けました!
亡くなられた方々への想いを込めて「タイム設定」をしていること。
ゆっくりと時が刻まれていたり…
凄いスピードで設定されていたり…
様々な思いが詰まった作品だと思いました。
東北の地に、ご家族の「命の光」を永遠に伝え残して欲しいという宮島さんの思いがあったようです。
展示映像を観てより深く理解できたので、もう一度戻ってじっくりと作品を見に戻りました!
いろいろと感じさせられる作品でした。
是非、見てください。
《30万年の時計》
《Monism/Dualism》
奈良美智
子供、動物などが単純に抽象化され、デフォルメされて頻繁に登場する作品群は、親しみやすさと神聖さ、無邪気さと残酷さなど、一見相反する性格を共存させ、観るものの想像力を刺激します。
奈良作品の孤独な主人公たちは、弱くて正直であるが故に社会の中で力を持たないものたち、辺境や境界で生きるものたちの代弁者であり、大人の心の片隅に生き続けている無垢な心の表象でもあるのです。さらに、「霊魂のありか」である肖像画は時代を超えた根源的なものとなるでしょう。
僕にとっては、この画風が好みではありませんでした。
ただ、この作品たちを見ているうちに「奈良美智ワールド」にどっぷりと浸かってしまっていることに気がつきました…
なんなのでしょうか!?
この不思議な世界観は?
奈良さんの絵は、刃物のような目で睨み付ける表情と現代アート的なマンガの手法で「恐さ」や「危うさ」まで含んだ子どもの姿が特徴的です。
生意気なところ…
純粋なところ…
子供のずる賢いところ…
これらは「退屈と欲求不満」の子供時代の感覚をすくい上げ、またそれと同時に退屈と不満から自然と発生する「激しい独立心」を取り戻そうようとする試みであると言われています。
その背景にあるのは、ロックやパンクにおける人間の潜在的な純粋性の怒りと幼児の純粋性が並列されれた状態が奈良さんに影響を与えています。
奈良さんの愛するパンク・ロック文化に影響された部分が見られるといいます。
なるほど〜!
この表現に特化している作品たちは、近代的なサブカルチャーから深く影響を受けているということなんだと分かりました。
だから、こんなにつり上がった目をしていたり、無表情だったり、奈良さんでしか描けない表現になっているのだと。
奈良さんの作品に似たような「キャラクター」って、見たことありませんよねぇ!?
あったとしても、奈良風っぽく評されてしまうことあるかと思います。
だからこそ、世界的に認められた日本を代表するアーティストなのだと分かりました。
《Miss Moonlight》
《Voyage of the Moon (Resting Moon) / Voyage of the Moon》
杉本博司
写真や現代美術に限らず、古美術、建築、造園、伝統芸能など、幅広い文化に精通する杉本博司は、芸術、科学、宗教、歴史が渾然一体としてあったルネサンス期のクリエイターを連想させます。
「幼い頃から、自分の見ている世界が実在することへの不信感を持っていた」と言う杉本さんは、物事の本質や真理、記憶の古層にある曖昧なイメージ、特定の形を持たない光。
こうしたビジョンを明快なコンセプトと職人的技術で作品化し、それを他者と共有する。
最近マイブームとなるほど杉本さんのアートに触れています。
今回の注目していた作品は、「ジオラマ」シリーズ最初の作品である《シロクマ》(1976年)
「アメリカ自然史博物館にあるジオラマを片目を覆って見たところ、生きているような幻覚が見えたという体験がきっかけになった」という作品。
《シロクマ》
杉本博司さんが制作しているシリーズの原点とも言える作品が、この「ジオラマ」シリーズです。
この作品はアメリカ自然史博物館に展示されている古生物や古代人の生活を再現したジオラマを撮影し、あたかも現実の風景のように見せています。
写真に写るさまざまな生き物の表情や、その足元に広がる草原や空といった風景は、一瞬見ただけでは本物なのか、偽物なの判断できません。
それはジオラマの精密はもちろんですが、杉本博司の作品の特徴である光の加減によって絶妙なバランスを保っていることがわかります。
「写真は常に真実を写す」といった基本概念を覆すことで、目に見えている疑いようのない現実を揺るがす衝撃を鑑賞者に与えています。
僕は、この「ジオラマ」シリーズを以前どこかで見て衝撃を受けたことがありました。
この「ジオラマ」で杉本博司さんを知ることになったきっかけとなった作品です。
こんなリアルな写真を撮れるんだ!と驚きました。
未だに、リアルなの? 偽物なの? って疑ってしまうほどのインパクトです。
杉本さんは、モノクロームについてこう答えています。
「70年代に作品を作りはじめたとき、それまで現代美術の中であまり使われていなかった写真という媒体を積極的に使っていこうと思ったわけですが、意図的にカラーを除外して、モノクロームにしたほうが、観念性が高くなると考えた。つまり、色のある世界をまず一度モノクロームに還元して、それからもう一度解釈を加えてトーンを整える。そうすることによって世界をアートとして見ることができる。それは一種の昇華作業ですね」
「モノクロームによって、アートになる」って、カッコイイです!
また「ジオラマ」シリーズをどこかでゆっくりと見てみたいです…
《Revolution 008 カリブ海、ユカタン》
まとめ
今回6名の日本を代表する現代美術アーティストをみて、感じるものがありました。
それは、それぞれ「この人だからこそ」っていう個性が引き立っていて、とても他の人にはマネできないモノを感じました。
ここまでやるか!?って、やることを振り切らないと世界で認められないのだと思いました。
やっぱり中途半端は、ダメですねぇ。
これからの時代は、『アート思考』の重要度が高まる時代と言われています。
この6名の方々のように、より深く一つのことについて考えること。
そして、それを「自ら表現し伝えること」。
それが、重要になるのだと思います。
一人ひとりが持つ個性を大切にして、アートのようにアイディアを表現する力こそが、世界で認められる方法なのかもしれません。
是非一度、世界レベルの現代アートを見てみて下さい。
おすすめの企画展でした!
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