Goal 1. 『End poverty in all its forms everywhere』
目標1: 貧困をなくそう
『あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ』
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
あらゆる形態の貧困の根絶は依然として、人類が直面する一つの重要課題となっています。全世界で極度の貧困の中で暮らす人の数は、1990年の19億人から、2015年の8億3600万人へと半分以下に減少しましたが、未だに多くの人が、人間の基本的ニーズを満たせないでいます。
全世界で8億人以上が今でも、1日1ドル25セント未満で暮らし、十分な食料やきれいな飲み水、衛生施設を利用できない人々が多くいます。中国やインドなどの国々では、経済の急成長によって、数百万人が貧困から抜け出しましたが、その進捗は男女間で一様ではありません。女性は雇用や教育、資産へのアクセスの不平等により、貧困状態に陥る確率が男性よりも高くなっています。
世界で極度の貧困の中で暮らす人々の80%を占める南アジアやサハラ以南アフリカなどの地域でも、大きな進捗がみられていません。気候変動や紛争、食料不安により新たな脅威が生じる中で、この割合は今後、さらに上昇すると見られています。
持続可能な開発目標(SDGs)は、私たちが開始した取り組みを完了し、2030年までにあらゆる形態の貧困に終止符を打つという大胆なコミットメントです。そのためには、脆弱な状況の中で暮らす人々に対象を絞り、基本的な資源とサービスへのアクセスを改善し、紛争や気候変動関連の災害で被災したコミュニティを支援することが必要です。
貧困の解消は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。
出典:国連開発計画(UNDP)
達成するために必要な具体目標(ターゲット)
目標1: 貧困をなくそう
ターゲット:
1.1 | 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。 |
1.2 | 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。 |
1.3 | 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。 |
1.4 | 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。 |
1.5 | 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。 |
1.a | あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。 |
1.b | 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。 |
世界の貧困の現状は?
8億人が貧困層という現実
国際的な貧困の定義としてよく使われるのは、世界銀行が2015年に定めた
「1日1.90ドル未満で生活している状態」です。
2015年の改定前は、1.25ドルと定義されていました。
SDGsの1つ目のターゲットでは、2015年以前の「1.25ドル」の指標を用いています。
1日1.90ドルの収入は、日本円で210円以下。
世界銀行のデータによると、およそ7億3600万人がこのわずかな収入で生活しています。
世界人口の約10%、日本人口の6~7倍の人々が貧困にあることを示しています。
なんと!
私たち日本で生活していると想像できない人数だということです。
8億人が貧困層という現実は、世界的に最も優先すべき大きな課題だと思います。
貧困によって多くの子ども達が犠牲になり、地域格差なども広がっています。
貧困による子どもの死亡率
特に貧困による子どもの死亡率が、重大な問題となっています。
国連の「死亡率推計に関する機関間グループ(IGME)」の報告書によると、2017年に死亡した15歳未満の子どもは推計630万人で毎日およそ1万7000人が亡くなっていることになります。
そのうち540万人が5歳未満児で、その50%はサハラ以南アフリカ、30%は南アジアです。
世界の5歳未満児の死亡数は2007年で900万人、1990年には年間1260万人だったことと比較すると徐々に改善されていますが、それでも2017年時点で540万もの子供が亡くなっていることを考えると決して少ない死亡数ではないです。
サハラ以南のアフリカと南アジアが、特に貧困から抜け出すことが難しい環境にいることが分かります。
なぜ貧困になってしまうのか?
貧困の理由として
一番は所得・収入が少ないといった経済的なものです。
その他にも
充分な教育を受けていないので仕事を選べない。
災害や紛争などで、仕事がなくなってしまった。
国や地域社会からのサポート支援がいない。
などが理由としてあげられます。
<貧困の主な要因>
・紛争&難民
・災害
「多次元貧困指数」
多次元貧困指数とは、所得だけでなく、「健康、教育、生活水準」の3つの次元から貧困層を定義する指標。いくつもの種類の貧困に同時に直面している人々を、多次元貧困層と呼んでいます。
多次元貧困の具体的な指標 | |
1 | 就学経験年数が6年以上の世帯員がいない |
2 | 学校に通うべき年齢の子供が就学していない |
3 | 調査日までの過去5年間のうちに子供が亡くなった |
4 | 栄養不足の成人又は子供がいる |
5 | 電気の供給を受けていない |
6 | 改善された下水設備がない、又は、改善された下水設備を他の世帯と共用している |
7 | 安全な水が得られない、又は安全な水を入手するのに往復30分以上かかる |
8 | 家の床が泥、砂又は糞である |
9 | 糞、木材又は木炭で料理をする |
10 | ラジオ、テレビ、電話、自転車、二輪車、冷蔵庫、自動車、トラックのいずれも持っていない |
内閣府HP 図表2-10 国連開発計画「多次元貧困指数」を構成する項目一覧 より
所得だけでは、「貧困」から抜け出すことはできないようです。
暮らす地域の政治や経済の状況によって、ちゃんとサポートを受けられているのか?
当たり前のように、綺麗な水はあるのか?
生活する電気は、あるのか?
また十分な健康管理と衛生的な生活環境は、非常に重要です。
収入を得るためには働かなくてはなりませんので、健康な体を持っていないと働けません・・・。
やはり、学校に通っていない「教育」が不足している状態だと良い仕事にはつけませんし・・・。
地域によって基礎教育が極端にできていないことが、この「多次元貧困」から抜け出せない負のスパイラルを生んでいるようです。
まとめ
地域によって一つの問題だけでは解決できない、非常に複雑な「貧困問題」。
SDGsの一つめ目標として挙げてるということは、「人間の生きる尊厳」を意味しているのだと思いました。
世界のどこの地域で産まれようと、「人として生きること」を最低限確保させたい。
各国・様々な団体が、あらゆる取り組みをされているようです。
本当に頭が下がります。
しかし・・・
今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の世界的な広がりにより、世界中で社会経済危機に直面しています。
2020年末までに貧困下の子どもが15%増加し、最大8,600万人の子どもが新たに貧困に追い込まれる恐れがあるとする新しい分析結果が発表されたようです。
(ユニセフ(国連児童基金)とセーブ・ザ・チルドレン より)
「パンデミックは、世界中の家庭を巻き込む前例のない社会経済危機を引き起こしました。家庭への経済的影響の大きさと深さは、子どもの貧困削減における長年の成果を後退させ、子どもたちから不可欠なサービスを奪ってしまうおそれがあります。今連携して行動しなければ、ぎりぎりの生活をしている家庭は貧困に追い込まれ、最貧困世帯は何十年も見られなかった水準の貧困に直面する可能性があります」
とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォア より
誰もが先行き不透明な状況にあるとは思いますが、世界の最貧困世帯はもっと苦しんでいる人が世界中で急速に増えていること。
知っておかなければなりません!
何か自分にできること・・・。
いろいろと考えて、小さな一歩を踏み出したいと思います。
21世紀の世界が抱える課題を包括的に挙げている『17の目標』
2:飢餓をゼロに
3:すべての人に健康と福祉を
4:質の高い教育をみんなに
5:ジェンダー平等を実現しよう
6:安全な水とトイレを世界中に
7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8:働きがいも経済成長も
9:産業と技術革新の基盤をつくろう
10:人や国の不平等をなくそう
11:住み続けられるまちづくりを
12:つくる責任 つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を
14:海の豊かさを守ろう
15:陸の豊かさも守ろう
16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標を達成しよう