アール・デコ建築で見る「現代美術作品たち」
「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」
「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」
東京都庭園美術館で、現代美術を通じて人間と自然との関係を問い直す展覧会が開催されていました。
8人の現代作家が見つけた「小宇宙」とは?
非常に興味深いテーマの展覧会でした!
緑豊かな自然に囲まれた旧朝香宮邸を舞台に、世界観がアール・デコと融合した不思議な世界を堪能できます。
8人の現代作家
青木美歌
淺井裕介
加藤泉
康夏奈
小林正人
佐々木愛
志村信裕
山口啓介
展覧会名:
「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」
会期:
2020年10月17日(土)– 2021年1月12日(火)
会場:
東京都庭園美術館(本館+新館)
東京都港区白金台5-21-9
私たちは、太古の昔にひとつの生命体として誕生して以来、刻々と変化する地球の過酷な環境に柔軟に適応することで進化を遂げ、高度な知性を獲得するに至りました。
その一方で、仮想現実に囲まれた日々の暮らしの中で、ともすれば自分たちが自然の一部であることさえ忘れがちです。
コロナ禍により、自然との新たな関わり方が求められている現在、私たちが本能的に有している感覚を取り戻す手段として、アートの役割が注目されています。意味や目的に縛られないアートは、私たち人間もまた、大きな生命の流れのなかにいることに気づかせてくれるからではないでしょうか。
本展は、緑豊かな自然に囲まれた旧朝香宮邸を舞台に、日本を代表する8人の現代作家たちの作品を通して、人間と自然との関係性を問い直す試みです。絵画、彫刻、映像、インスタレーションなど個性豊かな作品の数々は、私たちの意識の彼方にある世界の覆いをそっと外してみせてくれることでしょう。大都会の中に佇む小さな箱庭のようなこの邸宅で、私たちのなかにひそむ自然が甦る瞬間が到来するかもしれません。出典:東京都庭園美術館
淺井裕介《野生の星》
『人間と自然の関係性』
Relationship between humans and nature
えっ、本当⁇🤭
この赤色が、それ!?
『淺井裕介: Yusuke Asai』
土と水、石と火、テープとペンなど様々な素材を用いて、室内外問わず奔放に絵画を制作する作家。
淺井さんの描く動植物たちは、画面に隙間なく描かれています。
大きな動物の中に入れ子状に小さな動物が現れたりと、『ミクロの中にマクロが存在するこの宇宙の生態系を表している』ようです。
滞在場所で採取された土と水を使った「泥絵」が特徴的で、土が見えます❗️
しかも、鹿の血🩸を絵具として使った作品です😵
「動物・植物・宇宙など、人間と自然の関係性」テーマにしていること…
淺井さんの「訴え」が感じ取れます。
加藤泉《無題》
小林正人《画家の肖像》
『画家とモデル』
Painter and model
まさか⁇🤭
『小林正人: Masato Kobayashi』
「白いキャンバスを木枠に張ってから描き始めるのでは遅い!」
作品は、すごいワイルド‼️
絵の具をチューブから直接手にとり、キャンバスを片手で支えながら擦り込むようにして色を載せ、同時に木枠に張りながら絵画を立ち上げていくという手法を確立。
イメージと空間を同時に誕生させ、絵画の魂と肉体を一つに合わせるような方法論によって生み出される作品は、空間の中で強い存在感を放ち観るものに迫る。
「画家とモデル」
小林にはモデルを前にして常に、「描く者と描かれる者」というあたりまえの関係では割り切れないところがあるという。
このスピード感ある
モデルと一体化する感じ…
ワイルドな感情が作品に映し出されているようでした!
気になったのは、「JOYFUL」と書いてあるブルーのテープがあえて馬🐴の口元に⁉️
もしかして、ホームセンターの『ジョイフル本田』か!?
キャンバスとか、木の枠の材料とか買いに行ったのかなぁ〜と想像してしまいました😄😄😄
青木美歌《Wonder》
『加藤泉: Izumi Kato』
不思議な世界を表す日本人アーティスト。
見る人を強烈に惹きつける
不思議なイメージの連鎖。
不思議な存在感を漂わす「生きもの」のイメージを大胆に描き出す画家で彫刻家の加藤泉さん。
不思議…
なんだか、宇宙人!?と遭遇したような感じでした…
とにかくインパクトに圧倒されてしまいました😄
『男の最後のビール?』
MAN’S LAST BEER
面白い一枚見つけました🤭
『康夏奈: Kana Kou』
(吉田夏奈)
見た瞬間に、これ好き〜❗️
と思った作品…
「MAN’S LAST BEER」だそうです😄
綱渡りする人が、最後に飲むビール🍺なのでしょうか!?
康さんは風景を描くのに、実際にその場所で行った身体的体験をもとに描いているといわれています。
山に登ったり海に潜ったりという経験は身体に記憶として刻み込まれ、その記憶をもとに風景を操作するというプロセスを辿る。
もしかすると…
本人も綱渡りしたのかなぁ〜
とか、色々と想像してしまいます…
大胆な構図でちょっとポップな雰囲気もあって、「恐怖と緊張感」が伝わる一枚でした。
東京都庭園美術館の魅力とは?
足を踏み入れてすぐ目を奪われるのは、正面玄関の女神のガラスレリーフです。
ルネ・ラリックが朝香宮邸のためにデザインした作品だそうです。
アンリ・ラパンがデザインした噴水。
朝香宮邸時代、香水を照明に施し、香りを楽しんだことから「香水塔」と呼ばれているそうです。
白金台にある東京都庭園美術館は、旧宮家である朝香宮夫妻がお住まいだったアールデコ建築と芸術作品を同時に楽しめる、この上なく美しい空間です。
東京都庭園美術館の建物は、1933年、当時皇族であった朝香宮がご自宅として建てられた邸宅です。
旧朝香宮邸とは?
朝香宮家は久邇宮朝彦親王の第8王子鳩彦王が1906年[明治39]に創立した宮家です。鳩彦王は、陸軍大学校勤務中の1922年[大正11]から軍事研究のためフランスに留学しましたが交通事故に遭い、看病のため渡欧した允子内親王とともに、1925年[大正14]まで長期滞在することとなりました。
当時フランスは、アール・デコの全盛期で、その様式美に魅せられた朝香宮ご夫妻は、自邸の建設にあたり、フランス人芸術家アンリ・ラパンに主要な部屋の設計を依頼するなど、アール・デコの精華を積極的に取り入れました。また建築を担当した宮内省内匠寮の技師、権藤要吉も西洋の近代建築を熱心に研究し、朝香宮邸の設計に取り組みました。さらに実際の建築にあたっては、日本古来の高度な職人技が随所に発揮されました。朝香宮邸は、朝香宮ご夫妻の熱意と、日仏のデザイナー、技師、職人が総力を挙げて作り上げた芸術作品と言っても過言ではない建築物なのです。
現在は美術館として使われていますが、内部の改造は僅少で、アール・デコ様式を正確に留め、昭和初期の東京における文化受容の様相をうかがうことができる貴重な歴史的建造物として、国の重要文化財に指定されています。
まとめ
現代美術作家のそれぞれの「小宇宙」を楽しめました。
アーティストの感性がそれぞれ全く違う世界を表現していて、とても面白い展覧会でした。
さらにアール・デコ建築との融合がより世界観を引き立たせてくれていて、何だか妙にマッチした印象でした。
自然との新たな関わり方が求められている現在、私たちが本能的に有している感覚を取り戻す手段として、「アートの役割」が注目されています。
テクノロジーの発展と同時に、自然との関わり方ももう一度見直すときなのかもしれませんね!
ありがとうございました。