曲げわっぱ
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「曲げわっぱ」とは
曲げわっぱ(まげわっぱ)とは
スギやヒノキなどの薄板を曲げて作られる
円筒形の木製の箱のことです。
自然の厳しさに耐えた天然杉の
まっすぐで
弾力性の高い
木目を利用して作られる
「曲物」です。
本体とふたで一組になる作りで
主に米びつや、弁当箱として使われる事が多い。
「大館曲げわっぱ」は
見た目の美しさや
耐久性の良さはもちろん
『夏は保冷、冬は保温』
と
自然の力を最大限に生かした
秋田の伝統工芸。
<製造工程>
製材から木取り
↓
熱湯につけて曲げ加工
↓
山桜の皮で縫いどめ
↓
底入れ
↓
木地仕上げ
↓
塗りと磨きを数回繰り返し
と膨大な手間と時間を費やして作ります。
また
訓練を積んだ職人の技を要する
伝統工芸。
曲げわっぱの歴史
木材を曲げて器を作る中国では
「曲物」を「巻木」と書きます。
漢の時代の
「長沙馬王」堆墳墓の出土品から
「曲物」が発見されています。
紀元前200年頃
中国では精巧な漆器木地として曲物が
盛んに利用されていたいました。
日本でも
既に漆塗曲物は存在していたと
言われています。
当初の「曲物」は
柔軟な樹皮をそのまま曲げて
端をとめて円形の側板にしたのだろうと
推察されています。
日本の歴史は
縄文晩期の約2800年前の
秋田市平戸川遺跡から
底板直径34.1cmx厚さ2.2cmx側板高さ5.0cmx厚さ3mmの
樹皮でできたケヤキ素材の曲物容器が
見つかっています。
また
約2500年前の縄文晩期
新潟県北蒲原郡加治川村の
吉川遺跡から
曲物も見つかっています。
見つかったのは
ケヤキの樹皮製で作られた曲物で
長さ16.1cmx幅16.5cmx厚さ0.9cmの
板状の樹皮と
長さ6.3cmx幅1.2cmx厚さ0.9cmの
細長い板状のものでした。
これらのことから
曲げわっぱの歴史は非常に古く
縄文時代まで
遡るといわれています。
マタギが杉の生木を曲げて
桜皮で縫い止めて
弁当箱を作ったのが
始まりだといわれています。
「秋田杉」で曲物が
作られるようになったのは
約1300年ほど前。
大館郷土博物館に
推定10世紀初頭に制作された
曲げわっぱが所蔵されています。
それは
現在とほぼ同じカタチをしている
というから驚きです。
「大館曲げわっぱ」
の生産が盛んになったのは
今から約400年前。
秋田藩主大館城主
「佐竹義宜」が
領内の豊富な森林資源を利用できる
曲げわっぱを
下級武士の副業として
奨励して発展させました。
また昭和55年(1980年)には
国の伝統工芸品指定を受けています。
日本各地にも
様々な曲げ物がありますが
中でも伝統工芸品と指定されているのは
「大館曲げわっぱ」のみであり
その優れた技術を証明しています。
現在では
秋田を代表する特産品へと成長。
暮らしに寄り添った
「曲げわっぱ」が人気です。
特徴
単なる工芸品と捉えられがちですが
実は機能性も充実しています。
日本が誇る伝統工芸品のなかでも
身近な存在の曲げわっぱの
「お弁当箱」
天然木を使用した曲げわっぱは
木本来の調湿作用が
余分な水分を吸収してくれるので
冷めてもご飯がふっくら!
ご飯が傷みにくく
美味しいと評判です。
また
軽量で持ち運びがしやすいのが嬉しい
実用品としての利点があります。
天然木で作られているため
とてもデリケートです。
原材料が天然木のため
湿気に弱く
傷みやすいといった欠点もあります。
とくに塗装のしかたにおいては
それぞれに特徴があります。
本来は無塗装の白木で使われていましたが
現在は耐久性を向上させるために
漆やウレタンを塗ってある製品が
主流となっています。
種類
最高級の
「白木(無塗装)」
曲げわっぱと聞いたら
まず想像するのは
「白木のお弁当箱」
ではないでしょうか?
白木の曲げわっぱは
材質となるスギやヒノキの香りが漂い
美しい木目が楽しめます。
持った時に木肌がしっくり手に馴染む優しさも
白木の魅力です。
ほどよく水分を吸い
冷めても乾燥せず甘みを増したご飯がいただけます。
耐久性に優れた
「漆(うるし)塗り」
漆塗りの曲げわっぱは
耐久性に優れているので
塗り直しなど丁寧に手入れをすれば
何十年も使用することができます。
また
漆自体に優れた抗菌作用があり
白木ほどではないですが
調湿作用も発揮してくれます。
おすすめ使いやすい
「ウレタン塗装」
木地の表面を樹脂でコーティングした
ウレタン塗装の曲げわっぱは
毎日のお弁当に最適です。
使用後は洗剤でキレイに洗って
乾いた布で拭き取ればOK。
油モノを入れられるのも嬉しいポイント。
取り扱いが手軽ながら
木目の美しさを堪能できます!
ヒノキや秋田杉の美しい木目と色合い
香りの良さ
普遍的なデザイン等が
再認識され
老若男女問わず
根強い人気があります。
秋田杉について
秋田県大館市で作られる
「曲げわっぱ」は
日本有数の銘木として知られる
秋田杉を使用しています。
現在流通している秋田杉は
自然の中で育った「天然秋田杉」と
人工的に植林された「秋田杉」の
2種類。
これまで曲げわっぱには
「天然秋田杉」
が用いられてきました。
しかし
自然保護を目的に2013年3月で伐採が
禁止となってしまいました。
それを理由に
原木の在庫利用を除くと
今では原材料のほとんどが
「秋田杉」
となっています。
「天然秋田杉」は
日本三大美林のひとつです。
樹齢は200〜250年
年輪幅が細かく節のない
「柾目と光沢」
が特徴です。
一方
「秋田杉」は
樹齢100年前後のため
年輪幅が若干広く
「赤みがかった美しい色合い」
が特徴です。
均一な木目、軽さ、弾力性、
心地よい香りは
どちらも同じです。
どちらも
曲げわっぱに最適な材であることに
変わりはありません。
職人による丁寧な仕事
曲げわっぱの部材は
杉材の中でもっとも美しい木目をもつ
「年輪の柾目」
を使用します。
その柾目部分を薄く剥ぎ
熱湯につけて柔らかくしたものを
型に合わせて
素早く曲げて乾燥させます。
乾燥させた曲げわっぱを
桜皮で縫い留め
底面をわずかな隙間もないようにはめ込み
ヤスリをかけて完成させていきます。
これらの工程は全て
職人による手仕事で行います。
曲げわっぱが誕生した当時から
変わらぬ技法で
時間と手間を惜しまず
一つひとつ丁寧に作られています。
それが
『曲げわっぱ』
です。
まとめ
日本各地には
さまざまな曲物がありますが
国の伝統的工芸品の指定を受けたのは
「大館曲げわっぱ」
のみ。
秋田杉の優雅な風合いと温もり
そして
継承されてきた確かな技。
それらが日本が誇る
「逸品」
を生み出しています。
日本が誇る伝統工芸品のなかでも
身近な存在の曲げわっぱの
「お弁当箱」
是非とも使ってみたくなりました!